2016年09月24日

シロ、念願かなって人となる 元犬

ご訪問ありがとうございます。
落語の旅人、庭乃雀でございます。

今年の春頃、面白いテレビ番組を観ました。
NHKの『超入門!落語THE MOVIE』という番組です。
噺家さんの語りに合わせて、俳優さんがお芝居をする。
『アテブリ芝居』というもので、落語の世界の実写化です。

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それはそれは見事に、語りと役者さんの口があっていて、
(こういうのリップシンクというのだそうです。)
まるで役者さんが喋っているかのような錯覚に陥ります。
普通にお芝居してるより、はるかに臨場感があっておもしろいのです。
なんか衝撃的でした。

古典だと、道具や風習や家の作りなど、
どうなっているのかわからないことが多いですが、これだと一目瞭然!

すんなり落語の世界へ入っていけます。
例えば、『口入屋』で番頭さんや店の者が、夜更けを待って
綺麗な女子衆さんの部屋へ忍んで行こうとする時の
“走り元から、膳棚を足場へ、木山へと”なんて言われても
さっぱりどんな情景なのかわかりません。
昔の家の構造が分かりませんもん。
実写化してもらえると、このお噺、面白さ倍増するんじゃないかしら〜
と思います。

ナビゲーターを濱田岳さん、お噺を古今亭菊之丞さんが務めてらっしゃいました。
失礼ながら、古今亭菊之丞さん今回初めて知りましたが、もう素晴らしかった!
機会があれば是非高座に足を運んでみようと思います。

番組は春と夏にあって、こういうのレギュラーでやって欲しいなあと
切に願っていたら、思いを同じくする方が多かったとみえて、
10月からレギュラーで放送されることになりました!
(10月19日(水)午後10時50分〜11時15分 NHK総合)

う、うれしい(≧∇≦)楽しみだあ♪
お江戸の噺が中心みたいですが、上方編もやって欲しいなあ。

チュンチュン

3月放送分のお題が『元犬』と『紙入れ』の2本。どちらも生粋の江戸落語。
元犬はハライチの澤部さん、紙入れは友近さんが主演。
キャスティング抜群! どちらも秀逸、秀逸〜で大爆笑しました。
今回は、澤部さんがホンマに犬に見えた『元犬』のご紹介を。

さてさて
浅草蔵前の八幡様の境内に、全身真っ白のシロという野良犬が住み着いておりました。
近所の人たちが珍しがってシロの頭を撫でながら言いました。
「おまえと話ができたら楽しいのになあ。でも白い犬は人に近く、
信心すれば来世はきっと人に生まれ変われるよ」

来世ではなく現世で人間になってみたい!
一念発起したシロは八幡様に願かけてお百度参り。
すると三七、二十一日の満願成就の日、晴れて人間に変身します。
色白のキレイな若い衆に生まれ変わりましたが、当然裸です。

犬の時分にかわいがってくれた口入れ屋の上総屋の旦那さん、
シロを何か悪い奴らに身ぐるみ剥がれた気の毒な若い衆だと思い、
家に連れ帰ってくれます。
ところがついさっきまで犬だったシロ。なかなか犬のくせが抜けません。

足を拭けと渡された雑巾を振り回す、足を洗った水を飲もうとする、
出された下駄をくわえる、ふんどしの付け方も帯の結び方もわからない。
あきれながらも面倒見の良い上総屋の旦那さん、
かねてより変わった奉公人がほしいとたのまれていたご隠居さんを紹介します。

ご隠居さんは女中のお元さんと二人暮らし。
色白できれいな若い衆のシロを気に入って奉公人としますが、シロの奇行にびっくり。
変わった人がいいとは言ったけど変すぎる〜! 思わず女中のお元さんを呼びます。

「お元や!元はいぬか〜」
「へえ、今朝ほど人間になりました」

チュンチュン

【本日のよもやま】
もともとは江戸時代の笑い話を集めた本『写本落噺桂の花』の中にある
『白犬の祈誓』という一編を落語としたものだそうです。
上方落語では、蔵前の八幡さまは大阪天満宮に、上総屋さんは甚兵衛さんに。
ストーリーやサゲは大筋変わりません。見た目人間なのに“中身犬”の面白さ、
どれぐらい犬の可愛らしさが出せるかが勝負です。
九雀さんのは創作されていてサゲも違いますが面白いです。
外国の犬も出てきます。

真っ白いキレイな犬と言えば、白戸家のお父さんを思い出します。
白戸家の場合は『元人』ですね。
なんで犬になってしまったのかの理由はなんでしたっけ?

白戸家のお父さん役のカイ君は北海道犬。凛として純白の美しい毛並み。
なんと天然記念物に指定されている犬種だそうです。

人が動物になったり、動物が人になったり、
そう言えば、『平成狸合戦ぽんぽこ』では、人に化けた狸や狐がもうすでに多数
人間界に紛れ込んで暮らしているというお話でした。

どこか狸っぽい人は元狸、狐っぽい人は元狐、猫っぽい人は元猫。
加えて元人だった犬やら猫やらもいるならば、
この世は随分混沌とした世界ですねえ。なんとなく納得できたりして。

チュンチュン

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posted by 庭乃雀 at 21:54| Comment(0) | 江戸編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする