落語の旅人、庭乃雀でございます。
4月19日は枝雀さんの命日でした。
雀も少し日をずらしてお墓参りに行って来ました。
中山の町を見下ろせる小高い丘に枝雀さんのお墓があります。
ちょうど中山寺の境内の、大きな桜の木が長く枝を伸ばしたところに
ご先祖さまがたと一緒に眠ってらっしゃいます。
少し前まで桜が見事であったでしょう。
花びらひとつ、名残が墓石に残っていました。
桜の季節に旅立たれたんですねえ。
お墓の側に、猫が一匹、気持ちよさそうに寝そべっていました。
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早いものでもう18年が経ちました。
そちらの世界でもやっぱりお稽古三昧ですか?
『近日来演』だった米朝さんも、春団治さんもとうとう逝かれて、
四天王もそちらに揃われたし、
冥土筋 戎橋松竹はさぞかし賑やかに満員御礼でしょうか。
しきび並木の冥土筋。1本東が震災橋、ずっと南へ下がって
芝居町、1本西が念仏町。
芝居町では、人形町末広と戎橋松竹がなんと向かい合わせ。
もう江戸も上方も関係ありません。
師匠方も初代から勢揃い。今まで音源でしか知らなかった噺家さんの
高座が全部観れるのです。なんと豪華なことでしょう。
落語だけではありません。六道ビル6階万日劇場では、
小野小町が唄ってます。霧隠才蔵も猿飛佐助も唄います。
親鸞法然がコンビを組んで漫才してたり、
松鶴家キリストと浮世亭モハメッドの論争漫談!
あの世なればこそのプログラム(≧∇≦)b
こんな楽しみがあるのなら、死ぬのなんてちっとも恐くない。
なんだか、何時の日か旅立つことが楽しみにさえなってきました♪
生きている間に1席ぐらいは話せるようになって、
念仏町で忍者はっとりくんの絵の描いたお念仏を買って、
閻魔様の前で落語を披露、無事無罪放免、地獄行きを赦免されたら、
真っ先に枝雀さんのところに飛んで行きます。
そうしたらぜひ雀を弟子にしてください。
お稽古三昧、修行に精を出し、女流噺家として活躍します!
さーてあの世での目標が出来ました。
そのためにも娑婆の一日一日を一生懸命生きよう!
と、心新たにした雀でありました。
お墓の側に寝そべってた猫さん、あなたはきっと枝雀さんでしょ?
そういうことにしておきます。またいつかきっとお会いしましょう。
チュンチュン
さてさて
本日はあの世観光ツアーのお噺です。
サバにあたって死んだ喜六と、それより少し前にやぶ医者にかかって
命を落とした伊勢屋のご隠居が三途の川への道すがら再会します。
その後やって来たのは娑婆の大金持ちの若旦那、さんざん遊びつくして、
いよいよあの世しか行くところがなくなり、馴染みの芸者や太鼓持ち、
女将さん引き連れて、あの世観光ツアーと洒落こみました。
ふぐは美味しいものやと聞いていたけど毒が怖くて食べられへんかった。
この際、思い切りふぐを楽しんで、毒にあたって死ぬとしよう。
集団自殺やん!
そんなこんなでやって来た団体さん。その道中の陽気なこと♪
あれ?どこかで聞いたようなフレーズですねえ。
三途の川を渡り、賽の河原、六道の辻を珍道中、いよいよ閻魔の丁へ。
今日は先代閻魔の一千年忌。喜六もご隠居も、若旦那も、他の盲者たちも
特別の恩赦をもって、みんな極楽行きとなりますが、
医者の山井養仙、山伏の法螺尾福海、歯抜師の松井泉水、
軽業師の和屋竹の野良一、この四人だけは地獄に落とされます。
ところが、熱湯の釜では山伏の術でぬるい湯になり、針の山では軽業師が
他の三人を背負ってひょいひょい越えて、人呑鬼の歯は歯抜き師が
全部抜いてしまう。お陰で四人はすんなり鬼のお腹の中に収まります。
四人は鬼のお腹の中で暴れてやりたい放題。
たまらないのは人呑鬼。閻魔様になんとかしてくれと泣きつきます。
閻魔が罪を堪忍してやるから出てこいというと、ようやく四人は
鬼のお腹から出てきます。
計略にかかったな!出てきたところをぐるぐる巻きにされてしまいます。
閻魔がうそついた〜
すると、地獄中の鬼がやってきて、嘘つきの閻魔の舌を抜いてしまいましたとさ。
チュンチュン
【本日のよもやま】
嘘つき閻魔の舌を抜くというサゲは枝雀さんのもの。
米朝さんのを聞くと、どうしても出てくれない4人を出すには、
大王を飲むしかない。大王を飲んで下してしまおう。となってます。
“大王”と、漢方で下剤作用のある“大黄”をかけてあるのです。
でも漢方の知識のある人でないとサゲがわかりませんね。
『嘘ついたら針千本飲ます』か、『閻魔様に舌抜かれる』のほうが
ポピュラーですもんね。
でもいつか、これさえも通じない時代がくるのかな。
枝雀さんのお墓は、宝塚市中山寺にあります。
阪急宝塚線中山寺駅下車 徒歩1分。
大本山中山寺は、北摂の地に紫雲たなびく、
聖徳太子創建と言われる日本初の観音霊場です。
古くから安産祈願、子授け祈願のお寺として有名で、
子供のためのお寺という印象があります。
なんだか、枝雀さんにぴったりと勝手に思っています。
良寛さんのように、雀や子供に囲まれて今も境内の何処かで、
落語を聞かせているかもしれません。
余談
中山寺はほんとにきれいなお寺で、当たり前ですがゴミは持ち帰りです。
墓地にも一切ゴミ箱がありません。なので、墓参される方はご注意を。
ゴミ袋とお水用のバケツは持参しましょう。
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