落語の旅人、庭乃雀でございます。
4月19日は枝雀さんのご命日でした。
ずいぶんと時間がずれてしまいましたが、
枝雀さんがお好きだったお店で感慨に耽る事にしました。
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やって来たのは梅田の『北京』
名前からしててっきり中華料理屋さんだと思いましたが、
新梅田食道街というJR高架下にある立ち飲み屋さんでした。
創業ほぼ70年、何もかもが年期のいった、知る人ぞ知るの名店です。
北京の看板には『酒の店、世界の酒』とあります。
ワイン、ビール、洋酒、日本酒、ほとんどすべてのお酒を網羅しています。
隣で飲んでいた若いサラリーマン男子はポーランドのウォッカ、
スピリタス(なんと96°)にひーひー言いながら挑んでおりました。
代金引換と書いてあります。キャッシュオンデリバリーです。
テーブルに丸い木のお皿が置いてあって、まずそこに予算分のお金をのせておきます。
注文ごとにそこから代金を引いて行くというシステムです。外国のパブみたい。
ふらっと入って、サッと飲んで、シュッと帰る。スマートさがよいですね。
枝雀さんがお気に入りだったのがわかるような気がします。
ところで、ここで枝雀さんのお気に入りだったメニューは『エッグ』
なんと直球なネーミング。エッグベーカーという陶器の器で出される卵料理です。
料理というか、ま、シンプルな目玉焼きなんですけど、
最初半熟なのが陶器の熱でだんだん固まってくる、
そのいろんなタイミングで楽しめるってとこがいいのかな。
お箸でぐじゅぐじゅっとかき混ぜて少しお塩をかけて頂きます。
お酒は何を飲まれたのかな〜お好きだったのは呉春と聞きますが、
ここでは洋酒だったのでしょうか。
上岡龍太郎さんが枝雀さんを偲んでつくられた詩があって、これはじーんときます。
枝雀さんの姿が浮かんでくる、近しい方だからこそ書ける詩だと思います。
♪あなたの好きなこの店で、あなたのまねして飲んでます
酒は池田の下り酒、肴はカレイの一夜干し♪
この歌に出てくるお店は北京ではないかもしれないし、呉春でもなく、
カレイの一夜干しでもなかったけど、枝雀さんのまねしてエッグで一杯!
♪あなたが側にいるような 影がうごめく春の宵♪な、日暮れ前のひとときでした。
チュンチュン
さて、今回のお題に登場する地名は道頓堀の阪町。
前回のお噺にも出て来た大梅というお茶屋さんが登場します。
阪町はもと伏見から玉造へ移住した人たちが、さらにこの地に移されてできた町。
道頓堀の南側、芝居筋周辺にあった、お茶屋が立ち並ぶ南地五花街のひとつでした。
今、道頓堀筋と堺筋、千日前通りに囲まれた一角です。
西側は法善寺横町。落語家さんや、梨園の方御用達のお店もあり、今も昔も賑やかな界隈。
枝雀さんが奥さんにプロポーズされた『洋酒の店 路』もありますよ。
さてさて
毎度うまいこと言ってはお茶屋に通い詰める亭主の佐助。
悋気にかられて現場に飛び込み修羅場になったとこぼす女房に、甚兵衛さんが諭します。
昔在原業平という人は、井筒姫という妻がありながら生駒姫という愛人の元へ
毎晩のように通っていた。ある嵐の夜、さすがに出るのをためらっていると、
井筒姫は悋気もおこさず、こんな嵐の夜こそ行ってあげるのが男らしいと送り出す。
不審に思った業平が、さては妻も浮気かと隠れて様子を見ていると、
姫は夫が出かけた方へむけて、一首の歌を詠んだ。
『風吹けば沖津白波竜田山夜半にやひとり君の越ゆらん』
浮気どころか、夫の身を案ずる歌に業平は心底反省して、愛人宅通いを一切やめて
以前にも増して仲良い夫婦になった。
また小野小町は京都で百日日照りがあった時、神泉苑というところで雨乞いの歌を詠んだ。
『ことわりや 日の本ならば 照りもせめ さりとてはまた あめが下とは』
この歌に天が感応して七日七晩雨が降り続いたという。
なんと歌の力とはすごいもんやなあ
「おまはんも歌の一つ、面白い事の一つも言って亭主をよろこばせてみろ」
と言われて女房、口合いが得意だという。口合いとはいわゆる駄洒落のこと。
さっそく、夜中に帰って来た亭主にむかって口合いの嵐、弾丸のようにをあびせかけると
亭主はびっくり! 悋気の果てに女房がおかしくなってしまったと思い、
いたく反省してお茶屋通いをやめると宣言する。
「まあ!うれしや・・・百日の日照りがあったら知らせとう」
「どないするのや」
「口合いで雨降らしてみせるわ」
チュンチュン
【本日のよもやま】
口合い小町はくっちゃいこまちと発音します。江戸に渡って『洒落小町』となります。
雰囲気とサゲが違いますが、江戸の方がちょっぴり色っぽく粋な感じがします。
成功例を真似しようとして間違って・・・という落語の定番、
喜六の役回りを女房がやっていて面白いです。
洒落攻撃で気味悪くなった亭主が、外出を控えていたある日雨が降って来た。
女房は待ってましたとばかり、亭主に蓑と傘を無理矢理着せて外に突き飛ばします。
井筒姫のごとく、亭主を送り出して歌を詠み、改心してもらおうという算段。
ところが『風吹けば』というところを『恋しくばたずねきてみよ』とやってしまいます。
そう、蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)で狐の葛の葉が障子に書き残す歌です。
当然亭主は改心どころか帰ってきません。
また甚兵衛さんに相談に行くと、「そりゃ狐の歌じゃないか」
「道理で穴っぱいりだ」 で、サゲになります。
穴っぱいりとは、亭主の浮気のことで、愛人宅に行ったきり帰らないことを
狐が巣穴にこもることに例えたものだそうです。狐は女性の隠語でもあるそうで。
大人な感じになりますね♥
上岡龍太郎さんが書かれた枝雀さんを偲ぶ歌は、『花、酒、歌 あなたは今も』
というタイトル。増田俊郎さん作曲で佐川満男さんが歌っているものと、
リピート中山さん作曲のものとふたつあるみたいです。
リピート中山さんの歌はyoutubeで聴く事ができました。
『枝雀さんの歌』となってました。かわいい。
二つは全然違うのかな?増田さんの曲も聴いてみたいなあ。
チュンチュン
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