2017年03月08日

喜六、池田のおっさんの普請をほめてご祝儀に預かる 池田の牛ほめ

ご訪問ありがとうございます。
落語の旅人、庭乃雀でございます。

さて、“池田まで歩く”のリベンジです。
リベンジとかいいながら、前回の続きからスタートという甘々企画でございます。

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阪急曽根駅から猪鍋目指して出発です。
線路沿いを歩き出すと、すぐに東光院萩の寺への参道が。
名前の通り境内にたくさん植えられた萩の花で有名です。
秋はさぞかしきれいなことでしょう。萩の花にはお目にかかれませんでしたが、
寺務所の前に菩提樹の木がありました。
実を付けた葉っぱがうすく陽にすけてきらきらと、トンボの羽のようにきれいでした。

東光院を出て歩き出すとほどなく岡町です。原田神社の門前町として栄えた岡町。
神社の東門から出ると商店街。この商店街は能勢街道の一部となってます。
商店街をどんどん北上すると国道176号線に突き当たり、豊中駅前です。
駅前の地図を見ると面白そうな見所がたくさんあってそそられますが、
そんなことしてたら、池田に着く前に日が暮れちまいます。先に進みましょう。

国道176号線を北上、千里川を渡ります。このまま道なりに、蛍池を過ぎて中国自動車道。
頭の上をモノレールが走り抜けて行きます。鉄の箱が空を飛んでるようです。
猪買いの男には想像もつかない光景でしょう。
なんてこと考えながら清風荘2丁目の交差点を越えるといよいよ池田市です。

石橋には阪大があります。学生さんの街です。
どんどん北上して箕面川を渡ります。そのまま176号線を行くと池田駅に着きますが、
今回は171号線との交差点、井口堂から能勢街道に戻り、五月山を目指します。
171号線を渡ると、阪急バスの営業所があります。道は営業所の真ん中を横切って
続いています。まさかこれが街道とは思わなかったので、迷ってしまいました。

道なりに進むと二子塚古墳がみえてきます。古墳を右手に見て突き当たると、
井口堂の道しるべとお地蔵さまが建っています。ここは有馬道との合流地点。
池田に入ってからは、道の角かどにお地蔵さまの姿を見るようになりました。
旅行く人もきっと安心だったことでしょう。

古い家並みを見ながら進むと、ニシンジョの道しるべとお地蔵さま。
直進すると有馬へと続く道。右折して能勢街道を進みます。
ほどなくして水月公園に到着です。近くに若王子釈迦院があります。
寄り道した後は結構な坂道をひたすら歩き、なんとか五月山の麓に到着〜。
五月山は子供連れの家族でにぎわう都会でした。
山猟師の六太夫さんが住む山はもっともっと奥深いところでしょうが、
ひとまずここをゴールと致します。

池田2_3.jpg

できるだけ能勢街道を歩きたいと思いましたが、あまり調べもせず行ったので
行き当たりばったり、ところどころ能勢街道という体たらくでありましたが、
街々にはそれぞれ顔があり、改めて知らない街を歩く楽しさを満喫致しました。
それにしてもよく歩いた〜
万歩計の数字はなんと23,106歩!! さすがに足が限界でした。

日もとっぷり暮れました。ご飯を食べて大阪に帰ると致しましょう。
もちろん阪急電車で。

チュンチュン

池田を舞台にしたお噺がもう一つあります。『池田の牛ほめ』です。

さてさて
池田のおっさんが家を新築したというのでこれをほめて、小遣い稼ぎしたらどうや。
甚兵衛さんが、毎日仕事もせずにぶらぶら遊んでる喜六を呼びつけて
そのほめ方を伝授します。

『庭はちりめん漆喰、棗型の手水鉢、石灯籠がええ。畳は備後表の寄縁(よりへり)、
萩の違い棚、南天の床柱、天井は薩摩杉の鶉杢(うずらもく)・・・』

覚えられる訳がないので紙に書いて細かく教えてもらいます。

庭から玄関、順にほめて台所に回ると、残念なことに大黒柱にふし穴が。
これをおっさん、たいそう気にしてる。そこで、

『削ったら柱が細くなる。埋めたら傷物になる。あの上へさして
愛宕さんのお札を貼りなはれ。火除け魔除けになって穴も隠れましょうがな。』
大阪のアホがこんなええ知恵授けてくれるとは! と感動して、
小遣いの三円もくれるのは間違いないという算段です。

ついでに牛もほめましょう。
『天角、地眼、一黒、直頭、耳小、歯違う』
角が天を向いて、目が低く地を見てる。体が黒く、首はまっすぐで、耳が小さく
歯が食い違っている。菅原道真さんが乗っていた牛がこんな風で、
これがいちばんええ牛とされてたそうですね。

これで完璧やと、次の日池田にやってきます。
懐に忍ばせたカンニングペーパーをたよりになんとかほめあげると、
いよいよ大黒柱のふし穴の段。首尾よくおっさんから三円せしめることに成功します。
牛も上手にほめたところで、その牛くるっと喜六の方にお尻をむけると
ベタベタっとフンをした。

おっさんが、せっかくほめてくれたのに、そそうをして。
畜生のこと、ゆるしてやっておくれと言うと、

喜六「おっさん、ええ知恵貸しまひょか。あの穴へさして愛宕さんのお札を貼りなはれ」

チュンチュン

【本日のよもやま】
“ほめる”って結構難しかったりしますね。褒めすぎるといやみになったりして。
ほめ殺しなんて意図的な戦略もあるし。

でも今ならいやみととられてしまうほめすぎも、昔はそういう意図ではなかったみたいです。

素晴らしいものを羅列して相手を祝福するというのは古い伝統を持つ寿詞(よごと)の型で、
最も古いものは日本書紀の中にある『室寿(むろほぎ)』というものだそうです。
日本最古の新築ほめです!

言葉や文字には他を動かす力が備わっていると信じられていて、
たとえそれが本当でなくてもその言霊の力で現実になると信じられていたのですね。
言霊の力は絶大で、人を祝福する言葉は幸を呼ぶ。
逆もしかりで『人を呪わば穴二つ』 呪いの言葉は不幸をもたらす。
言葉は選んで思いやりを持って使いたいものです。

ところで猪鍋は食べることができたのか? 

残念ながらその目的は果たせませんでしたが、
てくてく歩いて来てみたら池田は落語のまちでした。
能勢街道沿い、ほんまち通り商店街に落語みゅーじあむがあり、
上方落語の資料が常設されていて月1回落語会も開催されています。

池田2_4.jpg

商店街の各お店ではそれぞれ落語にちなんだメニューを出されていたり、
訪ねたときはちょうど“池田の猪買いはじめました”というイベント中。
のぼりをたてているお店では猪の肉を使ったメニューを提供されていて、
どれもおいしそうでした。

池田2_1.jpg

で、雀が選んだメニューは味噌カツ仕立ての猪カツレツ♪
池田駅前のひら川さんにておいしく頂きました。
ちょっぴりワイルドな味がしましたよ。
チュンチュン

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posted by 庭乃雀 at 12:46| Comment(0) | 大阪編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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