落語の旅人、庭乃雀でございます。
今回訪れた地は長岡京市でございます。
平城京から平安京へと移るまでの間10年ほどを長岡京として栄えた町です。
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大阪方面から阪急電車に乗って長岡天神駅下車。
西口から出て徒歩10分ほどのところに長岡天満宮があります。
本日のお噺には関係ないところですが、有名なツツジの絶景が見たくて寄り道しました。
境内の東側に広がる八条が池に架かる橋は、本殿への参道となっています。
この橋の両脇には、市の天然記念物に指定されたキリシマツツジが植えられていて、
満開になると少し小さめの真っ赤な花がつくる通り抜けはそれはそれは見事であります。
残念ながら満開の時期は過ぎていて見頃の絶景を見逃してしまいましたが、
遅咲きの子達がいて、鮮やかな深紅の姿を見せてくれました。
ツツジを楽しんだ後は、いよいよ本題の地 “柳谷観音” を目指します。
長岡天満宮正面大鳥居を出ると丹波街道です。ちょっと南下して花山郵便局を越えて
次の角、土御門天皇陵の石碑を右折すると御陵道。
この道をまっすぐ歩きます。尾流の交差点に“左やなぎ谷”の石碑。
京都縦貫自動車道を渡り御陵道は続きます。
住宅地です。大きなお家が並んでますが、食料水分補給の類いは困難です。
道は先で二つに分かれます。左へ行くと土御門天皇陵があり、その先行き止まり。
右へ進んで、ここから山に入って行きます。竹林続くタケノコの山。
うぐいすがきれいな声で歌ってます。気持ちの良い山歩きでしたが、
途中から少し急になります。笹の葉っぱが道にあふれていて、すべって歩きにくい。
何度か滑り落ちそうになってスリル満点でした。
しばらく行くと道路が見えて来ました。府道79号線(柳谷道)に合流です。
朝掘りタケノコを売るテントが道路脇にありました。小さいの5個1,000円。
皮を剥くとなくなっちゃいそうです。
柳谷観音 楊谷寺あと1kmの看板。もうひといきです。頑張りましょう。
長岡天満宮あたりで何か食べておくべきでした。もうお腹がぺこぺこです。
着いたらまっさきに何か食べよう! もやは食べる事しか考えてません。
ようやく柳谷観音 楊谷寺の看板。
時は五月、元気よく鯉のぼりが泳ぐ参道がみえてきました。
と、ともに“お食事どころ”の文字が! ああやっと食事にありつける。
お参りの前だけどまずは腹ごしらえと、お店の前までやってきて愕然としました。
お休みです(T-T)・・・というか営業されてない模様。
そんな殺生なあと思っていたらその先に1軒お店が開いてました。ありがたい!
お昼の定食をいただきましたがとびきり美味しかったです。
すべて自家製で裏山でとれたというタケノコの煮物は優しいお味で、
お腹も心も幸せになりました。ごちそうさまでした。感謝!
このお店も毎月17日のご縁日と毎週日曜日以外は閉店のようです。
幸い雀が訪れたのは日曜日だったので、ご飯にありつく事ができましたが、
行かれる方はじゅうじゅうお気をつけて。
チュンチュン
さてさて
若くして、将来を有望視され、京で3本の指に入るとまで言われていた
目貫師(めぬきし)の定次郎。何の因果か目を患って光を失った。
近所のものは皆惜しがっていろいろ心配しますが、当の本人は毎日アホな事ばかり言って、
陽気にやっておりました。たぶん、そうでもしないとやってられへんかったんでしょう。
どの医者からも見放され、最後の手段の神頼み、わらをもすがる思いの願掛けを、
甚兵衛さんに言われるまでもなく、とっくの昔にやってました。
眼病に霊験あらたかだと聞いて、柳谷の観音さんに三七、二十一日間の日参。
えらいもんで、今日が満願という日の朝、なんだかいつもと様子が違う。
暗い所、明るい所がわかり、天気の善し悪し、人影までわかるようになっていたのです。
前途に光がみえて俄然元気の出た定次郎。
今晩、おこもりをして明日はきっと見えるようになって帰ろう。
観音さんの前で一生懸命延命十句観音経を唱えておりますと、隣から同じように
お経を唱える女の声が。聞けば同じような境遇の盲目の女。家も近い。
意気投合して山を下り、盗んだお賽銭で酒盛り。
すると目がうずいて仕方なく、きっと観音さんが嫉妬して意地悪しているのだと、
さんざん観音さんに毒づいて帰って来たのだという。罰あたって当然です。
心いれかえてもう一度信心することをすすめる甚兵衛さんに諭され、
今度は清水の観音さんにすがることにするのですが・・・後半に続く〜
チュンチュン
【本日のよもやま】
柳谷観音は正式名を立願山楊谷寺と申しまして、西山光明寺派に属する浄土宗のお寺です。
清水寺を創建された延鎮僧都により開山されたので、西の清水とも呼ばれております。
ご本尊は十一面千手千眼観世音菩薩で、特に眼病に霊験あらたかな、あらゆる方向の
あらゆる人を見失うことなく救う事ができるというスーパーパーフェクトな観音さまです。
この観音さまは毎月17日のご縁日の日のみご開帳されます。
境内には空海が祈祷して眼病に悩む人の為に霊水とした独鈷水(おこうずい)があります。
今も枯れる事なく湧き出ている水。このお水はめちゃくちゃ効きそうです!
昔、境内に湧き出る水で目を洗った盲目の子猿の目が開いたという伝説があるらしいです。
先見の明を授かり、心眼も開くかもしれません。
チュンチュン
本日の歩行距離、長岡天満宮から柳谷観音 まで約4km、1時間弱の行程でした。
定次郎の住まいは京都の麩屋町綾小路。ここから毎日歩いて柳谷観音までは
相当難儀な道のりだったと思われます。目の不自由な身であればなおさらのこと。
グーグルマップでルート検索してみると、なんと17.7km 3時間43分 。
往復だから約7時間の願掛けの道。苦行だ。
それを毎日21日間続けるとは。ホントは定次郎、真面目で意思の強い人。
ああそれなのに! 晴れて満願という時に女でしくじるとは!
思うに、この盲目の女人は観音さまが仕掛けた最終試験だったのでしょう。
定次郎はその試験に落ちたのです。
辛い苦行の末、せっかく開きかけた目も閉じてしまった。
観音さまが悋気して、意地悪で願いを却下したなどと悪態をつく始末。
短期で女好きなこの性格を直さない限り、開眼は難しいかも。
さて定次郎の運命やいかに〜
チュンチュン
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