2017年02月08日

冷え気の男、池田まで猪肉を買いに行く  池田の猪買い

ご訪問ありがとうございます。
落語の旅人、庭乃雀でございます。

実はかねてより寒くなったらやってみたいことがありました。
歩いて池田まで猪買いならぬぼたん鍋を食べに行こうという計画。
“綿をちぎって投げるような雪”とまではいきませんが、
ようやく天六界隈にも雪が降り、冬らしくなってきた一月のある日、
無謀な計画と思いつつ、いそいそと出かけて行った次第でございます。

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ほんとは丼池からスタートして北浜に突き当たり、でぼちん打たなあかんのですが、
ズルしてお初天神から出発です。

『北浜には橋がない、これ一つの不思議。橋ない川は渡れん。
渡るに渡れんことおまへんで、船で渡るとか、泳いで渡るとか。
それではことが大胆な。ほたらいったいどうしましょ。
左へ少し行くと淀屋橋という橋があるなあ。淀屋橋、大江橋、蜆橋と橋を三つ渡る。
お初天神の南門に紅卯という寿司屋がある。
その看板が目印でここからず〜っと北へ一本道じゃ・・・』 とネタをくりながら
お初天神の門前へ。

紅卯という寿司屋は今はなく、昔ほんとにあったのかどうかも定かではありません。

ちなみに枝雀さんは南門、米朝さんは北門、仁鶴さんは西門とされてます。
現在の各門前はこんな感じです。

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そのまま北へ北へと一本道。
江戸時代は能勢街道、今は国道176号線と名前のついた道を行きます。
梅田の町を通り過ぎると左手に済生会中津病院が見えてくる。
そのまま道なりに進むと中津陸橋。阪急中津駅を直ぐ側にみながら進みます。
振り返ると梅田のビル群が! ここからの眺めは初めてです。
そのビル群を背景に京都線、神戸線、宝塚線の往路復路、
阪急電車がひっきりなしに行き交うさまは圧巻です。まるで梅田の町が電車を
はきだしたり、飲み込んだりしてるよう。鉄道オタクでなくてもわくわくします。

当然昔はこんな風景はいっさいなかったわけで。
いったん頭の中からこの風景を消し去ってみます。

ただまっすぐの道と青い空。目の前に横たわる淀川。河川敷は渡しを待つ人でにぎわって・・・
なんてやってると十三大橋に到着です。
十三の渡しの石碑があります。ここから舟で渡ったのですね。
今は十三大橋を歩いて渡ります。向こう岸まで7分でした。舟だとどれくらいかな?

十三という地名は、淀川の上流から数えてちょうど十三番目の渡しがあったことが由来とか。
十三と言えば雀はやまもとのネギ焼き、喜八洲のみたらし団子を思い出しますが、
昔は『十三と言えば焼き餅、十三焼』やったらしく、
その総本家の今里屋久兵衛さんのお店は今もこの地で営業されてます。
享保12年創業といいますから今年でな〜んと290年の老舗です。
参勤交代のお侍さんも、渡しを待つ人々も、小林一三さんも、浪花千恵子さんも、
米朝さんも食べた味。一度は食べてみなくちゃね。

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『十三の渡し、三国の渡しと渡しを二つ越える。服部の天神さんを横目にみて、岡町から池田。』

先を急ぎましょう。次なる川は神崎川。三国の渡しでございます。もちろん今は橋を渡ります。
三国を越えると豊中市。賑やかな下町、庄内を通過します。
天満屋という大衆演劇の小屋がありました。公演中の熱演の音が漏れ聞こえてきます。

お腹もすいてきましたが、服部までがんばりましょう。
服部天満宮はちょうど大阪から池田までの中間地点ぐらいです。
疲れてきた頃に足の神様なんてようできてます。昔の人もここで休憩したかしら。
この後の旅の無事を祈って出発したのでしょうか。猪買いの男は休憩なしかな?

服部の天神さん、横目にみないできっちりお参りし、先へ進みます。
曽根の駅が見えてきました。
心なしか宝塚市に近づくにつれ、町がおしゃれになってきた感じがします。
いわゆる“シュッと”しています(>▽<)

と、ここでなんと雨です。傘持ってないです。急に足痛くなってきました。
yahooナビの予定では十三の渡しから服部天満宮まで1時間半のはずだったのに、
2時間半もかかっているじゃありませんか! どんだけ寄り道しとんね〜ん
ここから池田までナビでは1時間半と言ってますが、きっともっとかかるでしょう。
雨の中、歩く自信が失せていきました。 ショートカット決定です。

というわけで、曽根から阪急電車に乗って五つ目の駅、池田に到着と相成りました。
時間にして10分! 早っ! 
文明の利器に感謝しつつ、やっぱり昔の人は偉かったとつくづく思った次第です。
“池田まで歩く”はリベンジということで次回に続く〜

チュンチュン

さてさて

冷え気で悩んでいる男がおりまして、丼池の甚兵衛さんに相談します。
新鮮な猪の肉を食べれば良いと聞き、さっそく猪撃ちの名人、
山猟師の六太夫さんを訪ねて池田までやってきます。

とにかく新しいのが欲しいと頼み込み、雪の降りしきる中、
山へと猟に出かけることになります。

運良くすぐに雄と雌2頭の猪に出くわし、六太夫さんは銃をかまえます。
いっぺんに2頭はいくら名人でも撃てません。「どっち撃とう?」

ぐずぐず決めかねてる男にイライラしてきた六太夫さん、思わず引き金に力が入って
ダッダ〜ン 大きな猪がごろっと倒れ込みます。撃ち撃ちの猪の身です。

ところが今しとめた獲物を前にしてもまだ、これ新しいかと疑う男に、
さすがの六太夫さんも腹をたてたのか、
持っていた鉄砲で猪の体にどんどーんとふたつほど食らわしました。

実はこの猪、弾にあたって死んでた訳じゃなく、はずみで気絶していただけでした。
鉄砲の背でたたかれた猪、むくっと起き上がってトコトコ逃げてゆきました。

六太夫さんが 「みてみい、新しいがな」

チュンチュン

【本日のよもやま】
さて本日のお噺には『薬食い』という言葉が出てきます。
薬を食べるなんて面白い表現ですね。獣肉を食うという意味になります。

仏教の殺生してはいけないという教えの影響もあってか、
日本では食肉を禁じられていた時代もありました。
どんなときでも食べたい人は食べたいのであって、色々策を講じた結果
薬にしてしまおうとなったのじゃないかと思います。いわゆる漢方薬ですよね。
獣肉を食っているのではなく、薬を食っているのだから殺生はしていませんよ〜
という具合です。
実際、獣肉は滋養強壮の特効薬だそうです。
健康な人でも食べればたちまち体がグンと温まり、免疫力があがります。

たいがい、猪でも鹿でも狩りをするのは冬で、獣肉を食べるのは通常冬ということになります。
だから『薬食い』は俳句で冬の季語なんですって。季語の幅も広いなあ

ま、いずれにせよ冬はお鍋です。ただでさえ温まるお肉をお鍋で食べるのだから
熱くなりすぎるかもしれませんね(>▽<)

猪鍋は別名ぼたん鍋。猪のお肉が白い脂肪にふちどられた紅色で、お皿に盛りつけたさまが
ぼたんの花のようだから。鹿肉はもみじでもみじ鍋、馬肉はさくらでさくら鍋。
この美しい命名で獣肉を食うというワイルドさを和らげる効果はありやなしや。

ぼたん鍋は『二番煎じ』というお噺にも出てきますね。ここではお酒も煎じ薬と言ってました。

ところでぼたん鍋は熱くても火傷しないそうです。なぜかな?これもぜひ検証しなければ!

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posted by 庭乃雀 at 23:55| Comment(0) | 大阪編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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