2016年11月15日

無精な男、能勢の妙見山へ代参する 無精の代参

ご訪問ありがとうございます。
落語の旅人、庭乃雀でございます。

能勢は大阪の北の端。梅田から阪急電車宝塚線 急行に乗ります。
川西能勢口で能勢電鉄に乗り換えて妙見口まで。ここまで約50分。
妙見口から花折街道と呼ばれる道をてくてく歩いて20分,
妙見の森ケーブル乗り場へと向かいます。

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ブナを始め、杉や檜の大木が多く育ち、自然に恵まれた妙見山は
『大阪みどりの百選』に指定されていています。
この季節、赤や黄、オレンジと、まるでパッチワークのように染まる
美しい山を背景に柿の木、野焼きの煙、すすきの穂と
秋めく“日本一の里山”を満喫しながらの20分はあっと言う間。
とてものどかで気持ちのいい道行きでありました。

ケーブルに乗って山上駅までは5分、
そのあとリフトに乗って12分、妙見山駅に到着です。
リフトの両脇にはたくさんのあじさい。もちろん今は枯れた姿ですが、
その数半端じゃないので、6月にはさぞかし圧巻! きれいだろうなあと思います。
足下に季節の花々を愛でながら、リフトの浮遊感がなんともいえませぬ。

チュンチュン

妙見_2.jpg

妙見山は鳥居があって妙見宮とも呼ばれていますが、日蓮宗のお寺です。
北極星信仰の聖地で、北極星の神様である妙見大菩薩がご本尊。
随分と久しぶりにやって来ました。
何やら超近代的な建物が建っていてびっくりしましたが、
信徒会館のようです。この建物、上から見ると星形になってます。

グーグルアースで確認するとこんな感じ! さすが星の信仰のお寺です。
妙見_3.jpg

この建物と展望スペース以外は昔のまんま。 心地よいお線香の香りが立ち込め、
若いお坊さまの南無妙法蓮華経の読経の声と太鼓の音が響き渡っていました。

でも参詣客は当時に比べると減ってしまったのかな。
境内にあった風情あるお店、富士屋さんも今年の春で閉店されたもよう。
これでお食事できるところが参道にある小さなうどんやさん一軒になってしまいました。
阪急バスも日曜のみの運行で、しかも一日たったの2本。
それさえももう利用客がないのだと、ボランティアガイドのおじいさんが言ってました。
帰りは池田までバスで一気に降りようと思っていたのになあ。

チュンチュン

妙見_1.jpg

そんな妙見山が舞台のお噺が本日のお題、『不精の代参』です。
背中をポーンと押された勢いで、大阪丼池から能勢の妙見山まで登って帰ってくるという
奇想天外なお噺です。

さてさて
至って不精な男がおりまして、能勢の妙見さんの月参りの代参を頼まれます。
頼まれたもの、断るのが邪魔くさいというけったいな理由で引き受けますが、
自ら動き出すのが邪魔くさい。
能勢の方角にむけて背中をポーンとついてもらい、そのはずみで歩き出す。
十三や〜三国や〜岡町や〜 阪急沿線をてくてくてくてく。

ようよう妙見山に着きますが、お賽銭納めるのも、おローソク上げるのも、
あろうことか、拝むことまで人頼み。代参の代参です。
帰りも丼池の方角に向けて背中をついてもらいましたが、あんまり力任せだったので
飛び上がって坂を下り、丼池で止まらずに和歌山まで行ってしまうかも〜

なかば宙を飛ぶように降りていったので、首に巻いた弁当が前に回って来て邪魔で仕方ない。  
すると下からダラ〜っと口を開けて登ってくる男がおりました。
よっぽど腹をすかせているに違いない。この弁当を食わしてやればよかろうと声をかけます。
けれどもその男「そんなもん、喰うのじゃまくさいわい」似たようなやつです。

「腹減ってるんと違うのか、なんで口ダラ〜っとあけてんねん?」

「笠の紐がゆるんだんで顎で止めてるんじゃ」

チュンチュン

【本日のよもやま】
能勢の妙見さんは、日蓮宗では身延山に次ぐ、関西一の霊場ですが、
大阪は千日前にも妙見大菩薩をお祀りする自安寺というお寺があります。
千日前が刑場だった頃からある古いお寺で、“千日前の妙見さん”として
人々から親しまれていたようです。

いつの頃からかこのお寺のお座敷で上方若手の落語会が開かれるようになりました。
小米時代の枝雀さん、朝丸時代のざこばさん、春蝶さん、仁鶴さんなどが
この『妙見さん寄席』の出身だそうです。みなさんここで腕を磨いてはったのですね。

【本日のおまけ】
本日のお噺のテーマ『邪魔くさい』は悪の根源だと雀は思っておりまする。
邪魔くさい、面倒くさいという気持ちが事故や失敗を招くのです。
日々心いたしましょう。 と自戒する雀でありました。

以下は雀が作った昔話です。恥ずかしながらご披露致します。
お忙しい方はどうぞスルーしてくださいませ。

昔々あるところにおじいさんと、おばあさんがおりました。
おじいさんは山に芝刈りに行こうと思ったけど、面倒くさいのでやめました。
おばあさんは川に洗濯に行こうと思いましたが、邪魔くさいのでやめました。
桃は川をどんぶらこどんぶらこ、どこまでも流れてゆきました。
誰も面倒くさがって拾わなかったので、桃は腐ってしまいましたとさ。

ポチ「ここ掘れワンワン」
正直爺さん「邪魔くさいからやだ」
お話は何も始まりませんでした。終わり。

お後がよろしいようで〜

チュンチュン

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posted by 庭乃雀 at 02:48| Comment(0) | 大阪編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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